高い自殺率や産業災害発生率、低い幸福指数などは、韓国の職場の「苦しい」現実を象徴している。環境の変化がもたらす苦痛、またその苦痛から「苦しむ」人が再び他者を「苦しめる」破壊的な構造の 悪循環にならないよう、社会構成員がその苦痛の実体を理解し、克服し、協力して「共生」するための知恵を集める必要がある。
国際労働機関(ILO)は、2019年6月に設立100周年記念総会で「仕事の世界における暴力およびハラスメントの撤廃に関する条約第190号および勧告第206号」を採択した(2021年6月25日発効)。加盟国に対し、予防・保護措置、執行・救済を通じて暴力とハラスメントの予防・撤廃のための包容的かつ統合的で性認知的アプローチを採用し、指導・教育・認識向上も含まれることを要求している。
韓国は、2021年に勤労基準法上で「職場内ハラスメント (セクシャルハラスメントを含む)」を禁止し、使用者に被害者保護などの措置を義務付けた。現場では、依然としてハラスメントの法的定義、判断基準、調査業務、予防教育・対策、適用範囲および保護対象、実効性の限界、労働者の尊厳、精神保健の維持とストレス解消策、認識および組織文化の改善、教育機関、専門家の養成、政府の支援政策、先進国の立法例および動向など、さまざまな実務と理論上の問題の改善策を模索してくれるよう要請している。
このような現実を長い間見据えながら、2023年7月に「韓国ハラスメント学会」は、実事求是の次元で学問間の境界を越えてハラスメントの根源を探索し、ハラスメント現象を統合的に診断し、社会のさまざまな部門や領域で発生するハラスメントを防止し、持続可能な幸福な組織を構築する方法などを研究するために、熟慮の末に設立された。
今後、学会は韓国におけるハラスメントの問題を単純な『保護』や『処罰』を超えて労働人権(労働人格)を享受するより良い組織文化を構築し、経営目標を達成するための土台となるよう努める。 世界的 な連帯の中でハラスメントに関する国際的な交流にも力を注ぎたい。ハラスメントを様々な学際間の統摂的な観点を持つ専門学術領域へと進展させ、『幸福な共同体』の実現に貢献したいと考える。様々な分野の教授、研究者、法律専門家(弁護士、労務士)、現場の実践者、行政官など、私たちの社会のハラスメント問題に関心を持つ多くの方々が参加し、活動している。
2023年 7月 28日
韓国ハラスメント学会
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